これに対し、I群とII群の暫定調整係数の最高値はI群が「0.0319」、II群が「0.0803」だった。I群とII群は基礎係数がIII群よりも高いが、暫定調整係数の最高値ほどの差はなかったため、基礎係数と暫定調整係数、機能評価係数IIの合計値では、III群病院でありながらI群病院の最高値を上回るケースが4病院あった。また、II群病院を上回るのはそれら4病院を含めて8病院あった。
基礎係数は、出来高算定した場合の収益とDPC点数による収益との差を埋めるため各病院群ごとに設定された。診療密度の違いが反映されることになるため大学病院本院群(I群)が最も高く、特定病院群(II群)、標準病院群(III群)の順となる。
暫定調整係数からの置き換えが完了した18年度改定後の基礎係数は、大学病院本院群「1.1293」、特定病院群「1.0648」、標準病院群「1.0314」となった。DPC点数への上乗せ評価となる小数点以下の部分は、標準病院群(0.0314)の2倍が特定病院群(0.0648)、特定病院群の2倍が大学病院本院群(0.0648)という形だ。
病院間の格差が大きかった暫定調整係数が解消され、基礎係数による段階的評価がこうして明確になったことで、基礎係数と機能評価係数IIの合計値を各群ごとに上位から並べると、最高値は大学病院本院群の病院で、特定病院群の最高値は大学病院本院群の74位レベル、標準病院群の最高値は特定病院群の20位レベルとなり、きれいに階層化された=図=。
特定病院群で大学病院本院群の最低値を上回る病院はあるが、標準病院群で大学病院本院群の最低値を上回る病院はなくなり、そこまでの階層化が出来上がっている。
ただ、特定病院群と重なる標準病院群の病院の数は、18年度改定後は474病院で、16年度改定後の376病院からほぼ100病院増えた。
調整係数を廃止し、基礎係数と機能評価係数IIでの評価に移行するという厚労省の狙いは、こうした姿を作ることにあったとみることができそうだ。
だが、暫定調整係数の廃止後も一定の調整の必要性はあるとして今回新たに設定された「激変緩和係数」を加えると、群ごとの病院の分布は一変、暫定調整係数の時代の姿にほぼ戻ってしまう。大学病院本院群の最高値を上回る病院が標準病院群で1病院出現し、標準病院群で大学病院本院群の最低値を上回る病院が106病院にも上る。
ただし、激変緩和係数は診療報酬を改定した年の1年間のみ設定されるため、2年目にはきれいに整理された姿になる。激変緩和係数は、大学病院本院群と特定病院群ではそれぞれ1病院がわずかなマイナス係数となったが、標準病院群では71病院がマイナス係数、プラス係数は24病院となった。激変緩和係数自体も今後の検討課題となっている。
こうした結果を、当のDPC病院、中でも標準病院群がどう捉えるかは、中央社会保険医療協議会・DPC評価分科会での今後の議論を待つことになる。
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