【独立行政法人国立病院機構(NHO)久里浜医療センター 事務部業務班長 斎藤知二】
第1回の「契約実務の基礎知識と問題点」の中で、契約の目的を明確にして価値の最大化を図ることの重要性を説明し、第2回では医療機器メーカー間の競争を促す方法について、実際の事例を基に解説しました。第3回は、「価格交渉の進め方」について解説します。
前回、「最もバリューの高い契約とするためには、現場ニーズの把握も重要」と説明しましたが、この医療機器にしてほしいといった、「医師のわがままをどうしているか?」についてお話しします。
この場合の「わがまま」とは、「比較的個人に近い単位の医師の意見」としましょう。大勢の医師の意見は「わがまま」とは言わないでしょう。私は「医師」は仮に大規模病院の勤務医であっても、1人の専門家だと考えています。例えば上席の医師が若い医師へ指導することは、私たちのようなサラリーマンの上司が部下に指示するのとは異なり、上席医師の経験や知識に裏打ちされた専門家としての意見だと思っています。
医師が新しい医療機器や医療材料など、新たな技術に興味津々なのも、医師の学術的興味ばかりでなく、「患者さんへのより良い医療の提供」が根底にあると信じています。また医師の意見には、何らかのevidenceが含まれている場合が多いので、これを単純に「わがまま」と切り捨ててしまうのはもったいないため、話し合うことが重要です。
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次回配信は4月24日5:00の予定です
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