【独立行政法人国立病院機構(NHO)久里浜医療センター 事務部業務班長 斎藤知二】
前回は「契約実務の基礎知識と問題点」ということで「入札」制度について少し説明し、そして契約の目的は、契約によって「得られる価値の最大化」であると解説しました。
第2回では、実際の競争事例を参考に解説したいと思います。
「得られる価値の最大化」ベストバリュー(Best Value)を考えた場合、医療機関では、納期や量はもちろん重要かもしれませんが、「品質」を優先順位の上位に置く場合が多いと思います。また、かなり厳しい経営状況を勘案すれば、「価格」も無視できません。「品質が良く、できるだけ安価」な契約ができれば、バリューも上がるでしょう。
「品質」はどうやって判定するのでしょうか。例えば、手術機械などを購入する場合、使用する医師や現場スタッフの意見を聞いた上で、選定が必要になります。この場合、可能な限り複数メーカーの機器を選択することがポイントです。
該当製品を洗い出し、製品デモやプレゼンを経て、ポジティブに評価し、「製品性能上どうしても困る」機械だけ除外するのが理想的です。事前の評価で「最高の1社を選ぶ」のではなく、「納品されたらどうしても困る機器(1、2社)だけ除く」という考え方です。もちろん製品性能に差がなければ、すべての機器を選択のテーブルに乗せた方が、競争は誘発されます。
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次回配信は3月20日5:00の予定です
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