【独立行政法人国立病院機構(NHO)久里浜医療センター 事務部業務班長 斎藤知二】
昨年12月18日、2018年度の診療報酬・介護報酬改定の改定率が発表されました。診療報酬改定では本体がプラス0.55%、薬価・材料がマイナス1.74%で、ネットではマイナス1.19%だったほか、介護報酬はプラス0.54%でした。ただ、本体の改定率がプラスになったからと、楽観している医療関係者はいないかもしれません。診療収入が徐々に減っていく中では、今まで以上に費用の節減も求められますし、そもそも財やサービスを購入する場合、「損したい」「割高で購入したい」という方はいないでしょう。
連載では4回にわたり、契約実務や契約における改善事例をお伝えします。初回は「契約実務の基礎知識と問題点」、2回目以降は「競争事例の紹介」「価格交渉の進め方」「改善事例の解説」などを予定しています。
今回、「契約実務の基礎知識と問題点」がテーマですが、私の所属する国立病院機構と民間医療機関の法人組織では、特に契約の事務手続きは異なるため、執筆内容も偏ることをご了承ください。一方で、非常に厳しい経営をされている自治体医療機関には、参考になることも多いかもしれません。
さて、独立行政法人国立病院機構や国立高度専門医療研究センターは、もともと国立の医療機関だったので、契約手続きでも、国の機関として会計法をはじめとする法律の制限を受けていました。独立行政法人化した現在は、法人の会計ルールに基づいた契約手続きをしていますが、実際には、国の会計法や「予算決算及び会計令」などとほぼ横並びの内容になっています。独立行政法人の経営が独立採算であることを考えれば、ある意味、“国立時代”以上の成果を挙げる必要があるにもかかわらず、国と同様に公平性や透明性を強く求められるわけですから、契約のハードルは非常に高くなっていると言えます。
一方で、民間医療機関では契約手続きといっても、わざわざ入札手続きを行う必要はないので、案件に応じて多様な契約方式が取れるのはご存じの通りです。
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次回配信は2月20日5:00の予定です
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