【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■Evidence Based Policy(エビデンスに基づく診療報酬制度)時代の本格化
2018年度診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」をはじめ、中医協総会・分科会では、かなり詳細なデータが示され、より具体的な議論がなされていると感じている。昨年12月13日の中医協総会で示された診療報酬改定の基本方針では、「データを収集・利活用し、実態やエビデンスに基づく評価を推進」とあることからも、この方向性はより加速していくことだろう。
例えば、昨年11月の「入院医療等の調査・評価分科会」では、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)のHファイルデータから、A項目・B項目共に該当項目のない患者の分析結果を示したが、退院日当日、退院日前日等に多いことが分かった=グラフ1=。
このような退院直前の看護必要度を満たさない患者に対し、国も看護必要度のハードルの引き上げやインセンティブの付与により、早期退院のプレッシャーを掛けてくる可能性があるが、これにより、限られた医療資源の有効利用や、早期退院に取り組む病院の経営安定化につながるだろう。
グラフ1 Hファイルの分析で示された看護必要度を満たさない具体的な患者像の例
中医協入院医療等の調査・評価分科会(2017年11月2日)資料
なお、グラフ1以外にも、入院日の状況や、教育入院等のデータが示された。もしこれらのデータがまったくなければ、看護必要度のハードルを上げ下げする議論は非常に危ういものになる。しかし、このようなデータに基づいた患者像が示されることで、患者が不利益を被るような無理な退院が進められないかなどの議論が可能になるだろう。
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次回配信は1月24日5:00の予定です
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