【京都市立病院 副院長 森一樹】
すべての医療機関は、固有の理念を実現するための組織体である。ビジョンとは理念、今の姿、社会・医療情勢に基づいて、数年後になりたい具体的な姿といえる。京都市立病院は地方独立行政法人で、市長と市議会により定められた中期目標(4年間)が、ビジョンに当たる=図1=。
図1 京都市立病院の目標
前回、地域医療連携への取り組みを通じ、紹介率が約20%伸びたことを報告した。今回は経営管理指標を見ながら、当院の現状と今後の課題について考える。
■外部環境から見た京都市立病院
前回述べたように、当院は医療過密地域である京都・乙訓医療圏に属している。医療圏の「ハーフィンダール指数」(DPC対象ベッド数を基に算出)※は0.063で、全国で7番目に低い。当院の5km圏内には2つの大学病院、4つの地域医療支援病院を含む10病院(5402床)が存在しているが、寡占度が低い。つまり競争が厳しい地域といえる=図2=。
※企業などの競争状態を示す指数。ここでは、2次医療圏内にあるDPC病院の病床数シェアを2乗したものの総和として算出される(1に近いほど寡占度が高く、0に近いほど低い)
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