【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
1.ICU等の主な施設基準に関する議論
11月2日に開催された「2017年度第11回入院医療等の調査・評価分科会」では、救命救急入院料などの施設基準に関する議論が行われた。現行制度では、一般病棟だけでなく、ICUなどの重症系ユニットでも、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の基準値が設定されている。特に重症系ユニットでは重症者を入室させることが大前提だが、「何の基準もないのに高い報酬が設定されていて不平等だ」という声があるのも事実だ。具体的には、救命救急入院料1・3と脳卒中ケアユニット入院医療管理料のことだが、看護必要度の制約がなく、比較的軽症な患者を入室させ、高い報酬を得ている医療機関も散見されるようだ。
救命救急入院料1・3を届け出るには、救命救急センターの指定を受ける必要があるが、その承認状況には都道府県間に格差があるのも事実だ。また、脳卒中ケアユニット入院医療管理料は、神経内科あるいは脳神経外科を5年以上経験した専任の医師が原則として24時間院内にいることが前提で、この領域で体制を整えた病院でなければ厳しい=表1=。いずれも体制が整った中核病院には、高い報酬が設定されているが、入室要件は比較的緩やかという現実もある。
今回は、救命救急入院料1・3および脳卒中ケアユニット⼊院医療管理料の意義を踏まえつつ、今後の医療政策で考えられる⽅向性について整理したい。
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次回配信は12月11日5:00の予定です
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