【医療法人大誠会内田病院 法人本部長 内田智久】
「急性期病院でのデータ分析のノウハウを生かして、慢性期医療の質を明らかにし、わが国の医療に貢献できないか」そんな野望を抱いて、群馬県沼田市(人口約5万人、高齢化率30%)の内田病院に移籍したのが、ちょうど1年前である。長いようで、あっという間にも感じられるこの1年間で直面した戸惑いと、わずかながら形にできたことを紹介したい。
■慢性期医療の質評価の難しさを痛感
最初に直面した問題は、医療の質として求められるものが、急性期と慢性期とでは大きく異なるという点である。前回も述べた通り、急性期医療における質は人員配置の手厚さや手術件数の多さ、さらに在院日数の短さなどで表される。人員配置や件数は「量」であり、在院日数は「スピード」である。これらを伴いながら、身体機能が維持されつつ生存していること、すなわち「生」が急性期医療における質評価の要素だと捉えられる。しかし、この「量」「スピード」「生」は、慢性期医療、特に認知症医療では、必ずしもそれの質を表すものとはいえないのではと思われた。
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次回配信は11月16日5:00の予定です
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