【佐賀県 健康福祉部医務課医療支援担当係長 日野稔邦】
多くの地域では既に、今年度1回目の地域医療構想調整会議が終了したのではないか。佐賀県でも、今年6月に県全体会議を、8月下旬から9月上旬にかけて1回目の構想区域単位の会議(佐賀県では、構想区域単位の会議を「分科会」と呼ぶが、本稿では便宜上、「圏域会議」と表記する)を開催した。今回は、佐賀県の実例を紹介し、これからの在り方を述べたい。
1 病床機能の転換等に関する協議
佐賀県では2016年度以降、圏域会議を通じて医療機関の機能転換などについて具体的な協議を進めている。16年度はまず、自治体病院に新公立病院改革プランの策定状況の報告を求め、意見交換を行った。
佐賀県西部医療圏では、圏内で最も病床数の多い伊万里有田共立病院(有田町、206床)が、ケアミックス化を検討している旨を圏域会議に報告した。しかし、構成員から、「病院が目指すべきは(医療圏にない)高度急性期」「民間との役割分担を重視すべき」などの意見が出た。同病院は現時点で全病床が急性期である。
事前に同病院が「ケアミックス化を検討している」との情報が流れ、地元医師会から相談を受けたが、その際地元医師会に対し、圏域会議での意見表明を求めた。圏域会議が設置される以前なら、関係者の非公式協議で決着しただろう。しかし、その合意には法的正当性はなく、公式記録にも残らないため、将来に禍根を残すことも懸念された。圏域会議が「行政方針の追認の場」ではなく、「関係者の協議の場」である以上、関係者が“平場”で協議した経験と意義は大きい。
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