宿直の仮眠時間、学会の研究発表などの自己研さんは、労働時間に含まれるのか-。21日に開かれた「医師の働き方改革に関する検討会」で、厚生労働省の担当者は、裁判例を持ち出し、委員らに議論の前提となる「労働時間」の留意点などを説明した。病院の勤務医を労働基準法上の「労働者」とする考え方に疑義を呈す委員もいて、厚労省と一部の委員の間で考え方に隔たりがあることが浮き彫りになった。【新井哉】
■実際の裁判例を提示し議論促す
厚労省が取り上げたのは、▽関西医科大▽医療法人康心会▽奈良県立病院▽医療法人雄心会▽大阪府立病院-などの裁判例。これらを通して、勤務医らが労働者に該当することに加え、宿直や裁量労働制などについて考えてもらう狙いがあった。
例えば、耳鼻咽喉科で長時間の臨床研修を受けていた研修医が死亡し、遺族らが大学病院を訴えた関西医科大のケースでは、この研修医が病院の指揮監督の下で労務を提供していたとみなし、「労働基準法・最低賃金法上の労働者に当たる」と説明。研修医であっても労働者として扱うことを前提として、議論を進める方向性を示した。
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