【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■病院経営を苦しめる病床利用率の低下
9月15日開催の中央社会保険医療協議会(中医協)「入院医療等の調査・評価分科会」では、中間とりまとめ(案)について議論した。今回示された「【別添】資料編」は、議論の理解を深める上で非常によく整理されていて必見だが、資料では7対1、10対1の病床利用率の低下が示されている=グラフ1=。
グラフ1 7対1、10対1病棟の入院患者数と病床利用率の推移
中医協「入院医療等の調査・評価分科会」(2017年9月15日)資料
この資料自体は6月の同分科会で示されたものだが、急性期の病床利用率の維持が困難になっていることが分かる。その背景として、医療技術の進展等に伴う低侵襲化や早期退院・転院を促す病床機能分化等の影響などが考えられることをこれまでも示してきた。(「病床高回転化、若年層需要減も見据えて動く」等参照)
■看護必要度の厳格化などが進めば、より一層利用率は低下する
看護必要度の厳格化は、データに基づき十分な議論を経なければ、病院経営に大きな影響を及ぼし、医療の質の低下につながったり、医療提供体制を維持できなくなったりする可能性がある。(「同じ看護必要度でも7対1と10対1では患者像は異なる」等参照)
現時点では、中医協では厳格化を進めるための十分なデータを示しているとは言えない。今後、この点についてはさらに検討が進むだろうが、下記のデータが示されたことは留意すべきだろう=グラフ2=。
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次回配信は10月4日5:00の予定です
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