【株式会社To Doビズ代表取締役 篠塚功】
■はじめに
安倍内閣の下、「働き方改革実現会議」において、同一労働同一賃金の実現や長時間労働の是正などの議論が行われ、今年の3月28日には、「働き方改革実行計画」が発表されました。計画には、「非正規雇用の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「高齢者の就業促進」などの検討テーマと、2026年度までの具体的施策・指標がロードマップとして示されています。
今後、少子高齢化により労働力人口が減少することから、企業が率先して、働き方改革の実行計画と人材確保を進めていけば、ますます病院のスタッフの確保は困難になることでしょう。すなわち、労働集約型産業である病院における働き方改革は、より緊急性を増していると言っても過言ではありません。そして、病院における働き方改革は、14年10月1日より施行された改正医療法の中に、医療従事者の勤務環境の改善に関する規定が創設された時からスタートしていると言えます
連載では、病院における働き方改革と、その実現の方策としての人事制度改革について考えます。
■雇用の質向上のために必要な労働政策と人材政策
先述の医療法の一部改正に伴い、貴院でも厚生労働省の「医療分野の『雇用の質』向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き」を活用し、対策を進めていることと思います。
雇用の質を向上させるための課題とは、大きく2つに整理できるでしょう。1つは、働き方に直接関係する「労働政策」であり、もう1つは、働く人の意欲を高め、労働生産性を上げていく「人材政策」です。そして、人事制度は、この2つの課題に作用します。すなわち、働き方改革というのは、人事制度改革によって実現されると言っても過言ではないのです。
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次回配信は10月4日12:00の予定です
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