【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■よりよい評価制度を目指すための議論には十分なデータ提示が必要
8月24日の中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」では、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)が議論された。看護必要度の評価は極めて重要で、2018年度の診療報酬改定でも避けては通れないテーマだ。ただし、やみくもに厳格化すれば、病院経営に大きな影響を与えることが想定される。十分なデータを提示し、そのデータに基づく議論が行われることが望ましい。
25年に向けて、病床数の配置はいわゆる「ワイングラス型」から「砲弾型」に転換が求められていることを踏まえると、急性期病床の7対1に対する風当たりは強くなるだろう。
同分科会では、平均在院日数と看護必要度の関係について7対1と10対1の分布が示された=グラフ1=。
グラフ1 平均在院日数と重症度、医療・看護必要度該当患者割合の関係
中医協「入院医療等の調査・評価分科会」(2017年8月24日)資料
7対1の看護必要度が高く、10対1が低くなることは想定の範囲内だろう。ただし、10対1の病院の中には40%を超える所から5%を下回るような所まで、非常にばらつきがある。
■看護必要度の評価方法は「ハイブリッド型」がベストか
分科会では、このような分布が示され、7対1のように看護必要度のハードルを設定するのがよいのか、10対1のように看護必要度の割合に応じた段階的な加算を設定するのがよいのか、さまざまな議論が行われた。看護必要度を厳格化する上で、前者の「ハードル型」の制度はクリアできない場合の経営インパクトが大きい。そのため、クリアできない場合、病床削減・機能転換等の対策を講じる可能性が高いだろう。また、看護必要度が既に25%を超えている病院に、さらに向上を促す動機付けが難しい。一方、後者の段階的評価制度は身の丈に合った加算を算定できるため、経営インパクトは比較的小さく、最上位の加算を算定している病院以外は、さらなる上の加算を目指す動機付けとなる。ただし看護必要度が低くても、病床削減や機能転換をする可能性は低くなる=表1=。
表1 看護必要度の評価方法の特徴
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次回は9月21日5:00配信予定です
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