厚生労働省の来年度予算の概算要求(一般会計)は31兆4298億円で、今年度当初予算に比べ7426億円(2.4%)増えた。うち年金や医療などの経費(「医療や介護等に係る経費」)は29兆4972億円で、高齢化などに伴ういわゆる自然増は6491億円(2.3%)。政府は、最終的にこれを5000億円程度まで圧縮させることにしている。財務省は査定作業に着手し、来年度予算の政府案が年末にまとまる。医療関係者にとって最大の関心事が来年4月に迫った診療報酬改定の財源の確保だが、それを左右しそうな気になる2つのテーマがある。【兼松昭夫】
政府が7月に閣議了解した概算要求基準(シーリング)では自然増の要求額は6300億円までとされていたが、厚労省によると、他省庁分の予算が200億円程度減少したため政府全体でこの枠内に収まった。今後の課題は、この自然増を5000億円程度にまでどう圧縮させるかだ。差額分の1300億円の捻出をめぐり、厚労・財務両省の折衝が年末にかけて本格化する。
■財政審は「診療報酬の適正化」を提言
厚労省の概算要求では、働き方改革の着実な実行や、質が高く効率的な医療・介護の提供の推進などに重点を置き、このうち働き方改革関連では、医療従事者など業種ごとの勤務環境改善に139億円を要求。政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」で、医師の残業時間が規制の対象とされたのを受け、長時間労働の実態を調査したり相談体制を強化したりする。
質が高く効率的な医療や介護の提供の推進では、高齢者による医薬品の安全な使用の推進に2.1億円を要求。省内の検討会による議論を踏まえ、ガイドラインの整備や周知を進める。
1つ目の気になるテーマが診療報酬と介護報酬の同時改定への対応だ。厚労省では、これらは「予算編成過程で検討する」としており、それぞれの改定率をめぐる財務省との折衝が決着するのは毎回、年末の政府予算案取りまとめのぎりぎりになる。
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