夜間や休日に特定の精神科救急の医療機関に負担が集中することを防ぐため、厚生労働省は、地域の実情を踏まえた連携体制の構築を促している。今年4月には精神科救急医療体制整備事業の実施要綱を改正し、精神科救急の外来と入院を分けた受け入れ体制を構築する方向性を示したが、これを進めるには精神科医療機関と救急医療機関の連携強化が不可欠だ。厚労省の狙いと今後の方向性を探った。【新井哉】
■受け入れ医療機関の確保が困難な地域も
自殺未遂などによる身体合併症のある精神疾患の患者については、救急搬送を受け入れる医療機関の選定に時間のかかるケースが少なくない。総務省消防庁によると、搬送まで3-4時間かかったケースの約4割を精神疾患患者が占めている。
こうした状況を改善するため、厚労省は2008年に精神科救急医療体制に関する実施要綱を策定し、都道府県に連絡調整委員会を設置して関係機関の連携・調整を行うよう求めていた。
診療報酬でも精神科救急搬送患者地域連携紹介加算や精神科救急搬送患者地域連携受入加算による“インセンティブ”があるが、精神科医療機関や精神科医が少ない地域では、患者を受け入れる医療機関を確保するのが難しく、限られた医療資源を有効に活用する方策が必要とされていた。
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