医師が退職した病院(診療科)に若手の医師を派遣して適正配置を進める一方、卒前・卒後の一貫した「医師養成」を国や自治体が積極的に担い、地域医療の質を確保していく-。厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長=遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)で、このような体制構築を視野に入れた議論を始めた。厚労省は、「エビデンス」に基づいた医師の適正配置や、勤務医の実態調査結果を参考に医師の養成と確保で成果を上げつつある自治体を「モデルケース」と考えており、今後、地域の医師確保につながる仕組みや方向性を示したい考えだ。【新井哉】
■常勤医数や患者数を検証、「エビデンス」に基づき医師派遣
厚労省が「モデルケース」としているのが、派遣を要請してきた病院の専門分野別の常勤医師数、医師1人当たりの患者数といった「エビデンス」に基づき、医師の適正配置に取り組んでいる山形県の協議会・委員会の取り組みだ。
9日に開かれた検討会の会合では、具体的な対応例として同県の寒河江市立病院の派遣要請に関する説明があった。同病院は、地域の「中核医療機関」として、近隣の高次医療機関、診療所、介護福祉施設などと連携を進めてきた。しかし、この地域では医師の減少が顕著で、急性期から慢性期までの医療提供に努めている同病院でも常勤医の不足が慢性化していた。
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