【小倉記念病院 経営企画部企画広報課 PRプランナー 松本卓】
前回は「クリエイティブのないマーケティングの話はもうやめよう」と言っておきながら、小倉記念病院(北九州市)の具体的な「コミュニケーション」をまったく紹介していませんでしたので、今回は人の心を動かし「共鳴」してもらうためのクリエイティブ(良好な関係を構築するコミュニケーションの仕組み)で差別化を図ったコミュニケーションツールについてご紹介します。
■ホームページは「主役は街に暮らす人々」がコンセプト
当院のホームページコンセプトは、「主役は街に暮らす人々」。TOPは外観ではなく、地域で暮らしている方々のありのままを写真で紹介しています。ホームページを通じて地域へ貢献できればと半年に一度更新しており、現在は計36施設の方々にご協力いただいています。
http://www.kokurakinen.or.jp/
現在のホームページへリニューアルしたのは2014年。30代までの若手職員と外部クリエーターを含めた8人のプロジェクトチームで取り組みました。30代と区切ったのは、やはり若い世代はクリエイティブへの理解と感受性が高いためです。結果として角が取れてどこにでもあるような、ありきたりなサイトにならずに済みました。この決断をしていただいた役員の方々には本当に感謝しています。
このプロジェクトチームが最初に念頭に置いたのは、「病院らしくないホームページをつくろう」ということ。それはなぜか。病院ホームページのイメージといえば、必ず外観や風景がTOPに出てくる。言いたいことを詰め込み過ぎている。美辞麗句で固めた言葉が並ぶ。これらすべては自院の自慢です。私たちは「安心して暮らすことのできる、そんな幸せな地域づくりに貢献したい」という想いを違った形で発信できないか検討しました。しかし「地域のために」という言葉はどこの医療機関でもよく聞きますね。他施設と差別化できて、この想いを伝えるホームページとはどういったものなのか。そこでたどり着いたのが「主役は街に暮らす人々」です。簡単に言うと、「愛されたいのなら、まず愛しましょう」ということですかね。
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次回配信は8月24日5:00を予定しています
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