【株式会社Work Shift代表取締役 高木綾一】
1 次期改定で回復期リハ病棟はどうなるのか?
2016年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の入院患者のFIM得点が一定水準を下回ると、7単位以上の疾患別リハビリテーション料が入院基本料に包括されるルール(以下FIM得点ルール)が導入された=図1=。中央社会保険医療協議会(中医協)は現在、FIM得点ルールの導入が与えた影響を調査しており、10月にも結果が公表される予定だ。
中医協の議論では、回復期リハ病棟の入院患者の2割以上が「障害高齢者の日常生活自立度」(寝たきり度)の「自立」判定に該当し、回復期リハ病棟入院料1を算定する病棟の在院日数が入院料2や3と比べて長いことや、回復期リハ病棟の一日平均単価が7対1一般病棟に次いで高いことなどが指摘されている。つまり、平均単価の高い病棟にADLレベルの高い患者が一定数、長期間入院していることが疑われている。このような実態が明らかになれば、FIM得点ルールはさらに厳格化されるだろう。
それでは、もしFIM得点ルールが厳格化されるなら、どのような対策が必要なのか。
FIM得点ルールは、獲得したFIMを分子、在棟日数を分母とした計算式に基づいている=表=。つまり、FIM得点をアップさせるには、FIMを向上させるか在棟日数を短縮させるかのいずれかしかない。
FIMを向上させるには、▽FIMの正確な測定▽回復期に適した入院患者の確保▽回復を見込める除外患者の適切な選定▽発症早期の受け入れ▽理学療法・作業療法・言語聴覚療法の質の管理-などが必要だろう。
また、在棟日数の短縮には、▽退院後のリハを担当する事業所との連携▽住宅改修などの環境調整▽利用者や家族への在宅生活指導▽在棟日数短縮による稼働率低下を防止するための入院患者数の確保-などの対策が必要だろう。しかし、これらは即席の対応は無理で、戦略に基づく地道な組織作りが必要になる。人材の不足、教育システムの不備、部門間連携の不備など組織の課題を解消しなければならない。いま一度、ご自身の回復期リハ病棟の組織力や課題を棚卸し、18年度改定に備えて組織作りを検討してほしい。
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次回は8月30日5:00配信予定です
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