「医療計画において、『病院に歯科医師を配置していくことが望ましい』旨を明記する」-。「医療計画の見直し等に関する検討会」の先月末の会合で、厚生労働省がこうした案を示す場面があった。そのための財源を確約できないことなどから同省は案を取り下げたが、診療報酬改定を来年春に控える中、歯科医師の病院配置に追い風が吹くか注目される。【佐藤貴彦】
■歯科医師雇うと「病院経営が苦しくなる」
歯科医師の病院配置を推進する案を同省が示した目的は、医科と歯科との連携を進めることだ。入院日数の短縮や誤嚥性肺炎の予防などの効果があることを近年の研究結果が示しており、この日の会合でも同省の案に複数の委員が賛同した。
その一方で、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は「歯科医師を雇うと病院の経営が苦しくなるという現実がある。確保しろと言われてもかなり大変」と指摘。その原資を国が補てんしない限りは配置が進まないとの見方を示した。西澤寛俊委員(全日本病院協会名誉会長)も「経済的な裏付けをぜひお願いしたい」と要望した。
これを受けて厚労省医政局の佐々木健・地域医療計画課長は、「制度的な裏付けの議論をした上で(医療計画に明記させるかどうか議論)すべきだ」と述べ、この日は案を取り下げた。
同省は今月に入ってから、この日の会合の資料をホームページに掲載した。ただ、歯科医師の配置を促す案は削除され、「歯科医師の担うべき役割」や「勤務する場所を含めた、歯科医師の確保に向けた取組」を医療計画に記載する案へと差し替えられている=表1=。
■“外付け型”の連携にも診療報酬のインセンティブ
医科と歯科との連携は、病院に歯科医師がいないとできないものではない。診療報酬のインセンティブは、病院に勤める医師と歯科医師とが協働する“内包型”のほか、院外の歯科医師が訪問診療などで対応する“外付け型”にも与えられてきた。
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