【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会の6月14日の会合では、回復期リハビリテーション病棟の単価が高いという指摘があった(【中医協】回リハ病棟、患者の単価「高い」)。それを受けて、株式会社メディチュアの渡辺優氏は「回復期リハ病棟の点数は高くない」として反論している。
私はリハビリの報酬は下げざるを得ない状況にあり、さらなる本格的なアウトカム評価の導入が急務と考えている。昨今、リハビリのやり過ぎからか、各地でレセプトの査定が多くなっているのも事実である。もちろんリハビリは有効であり、その効果を否定するものではない。しかし、大量にセラピストを抱え込み、なりふり構わず単位数を稼ぎまくる病院がある現状からすれば、見直しをすべき局面にあるといえる。本稿では、回復期リハ病棟の今後のあり方について検討していく。
グラフ1は回復期リハ病棟における入院経過日ごとの出来高換算点数であり、渡辺氏の集計結果とは大きく異なっている(23病院8171症例を対象に集計)。渡辺氏は1日当たり包括範囲出来高点数が入院から10日目まではそれ以降と比べて2倍以上であり、入院初期には医療資源投入量が多いことを指摘している。確かに急性期を脱しないような状態で回復期リハビリテーション病棟に入室した場合には、そのような傾向が見られると予想されるが、私のサンプルデータでは傾向は異なっていた。
グラフ1 回復期リハビリテーション病棟 1日当たり出来高換算点数 クリックで拡大
ただし、グラフ2、3に示すように、リハビリテーションの1日当たり単位数は初日に少なめであるものの、経過日にかかわらずほぼ同等の資源投入が行われる傾向にある。そして、施設により医療資源投入量のばらつきがあるのは事実で、それはスタッフ数によるところが大きい。
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次回配信は7月24日5:00の予定です
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