厚生労働省は22日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の会合で、医師が一斉に退職し、地域での役割を変えざるを得ない病院が現れた場合などに、臨時の地域医療構想調整会議(調整会議)を開くよう都道府県に促す方針を示した。病院が担う医療機能の見直しが必要な場合が対象で、医師の一斉退職のほかに診療科の一部の休止・廃止や開設者の変更、他病院との統廃合などでも開催を呼び掛けるという。【佐藤貴彦】
■病院新設、雇用と機能見合っているか確認
調整会議は、毎年度の「病床機能報告」の結果を踏まえて定期的に開くほか、臨時でも開催する。厚労省は22日、臨時での開催が必要なケースを明確にすることを提案。医師の大幅な増減などに伴って病院の役割が変わると想定される場合、その病院の関係者が調整会議に出席して今後の見通しを説明する必要があるとした。
また病院の新設や、増床の計画があると分かった場合にも、その関係者を含めて調整会議を開くべきだと指摘。雇用や設備面の見通しが、その病院が担うつもりの医療機能と見合っているかを確認し、地域で不足する医療機能を担うように、都道府県から求めるべきかどうか検討する必要性も挙げた=図1=。
こうした提案を受けて相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、「例えば、産婦人科(の医師)がいなくなったから、ちょっと休止するということも全部、調整会議に出すのか」と質問。厚労省の担当者は「あくまで4機能に着目した観点だ」とこれに答え、病院の医療機能が急性期から回復期に変わるといった可能性がなければ調整会議を開催する必要もないことを強調した。
■今は過剰じゃない地域、新設止められないが…
また中川俊男委員(日本医師会副会長)は、現在の人口に見合った「基準病床」と比べると病床数が少ないものの、人口が激減するなどして2025年までに過剰になると見込まれる地域に言及。そうした地域で病院新設の希望があった際に、調整会議の役割が特に重要になると指摘した。
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