【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■回リハ病棟の単価はなぜ高いのか
先日の中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会では、「入院医療等の調査・評価分科会」からの報告に対し、支払側委員が回復期リハビリテーション病棟入院料※1の平均単価が高いと指摘し、その理由を調べるよう分科会に求めたと報じられている。7対1に次いで「高い点数」となっている理由を求められている以上、提供する医療の中身が伴っているかが問われていると解釈すべきだろう。
【中医協】回リハ病棟、患者の単価「高い」-支払側委員が理由の調査求める
※1 以下、入院料の段階に応じて、回リハ1、回リハ2、回リハ3と表記
グラフ1 入院料ごとの1日平均単価比較
中医協入院医療等の調査・評価分科会「平成28年度調査結果(速報)概要」2017年6月7日から引用(赤枠は筆者)
■回リハ入院単価の最大の決定要因はリハ単位数
しかし、回リハ病棟の請求内容(≠診療内容)は単純で、ベースとなる入院基本料に、回リハの単位数が上乗せされるだけだ。そのため、回リハ病棟に入院している患者それぞれの1日ごとの単価をリハビリの種類(運動器リハ・脳血管リハ。廃用リハは除外)、単位数に応じて計算した=グラフ2=。1日当たりの提供単位数に応じて、単価が高くなるという非常にシンプルな結果だった。なお、運動器リハと脳血管リハでは、1単位当たりの点数が異なるため、同じ単位数であっても差異が生じる。
グラフ2 リハビリ種類・1日当たり提供単位数別の入院単価(食事込み)
回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している複数病院のデータから分析
入院単価の増加分だけに着目すると、多少ばらつきは生じるものの、脳血管リハで1単位増加すると2358円※2のアップ、運動器リハでは1794円※2のアップとなっている=グラフ3=。これは脳血管リハ(I)の診療報酬が245点、運動器リハ(I)が180点であることとも整合性が取れる結果と言えよう。
さらにグラフ2の「0単位」に着目すると、2万5000円程度だ。回リハ1と同様に回リハ2と3も0単位の日の単価を調べると、回リハ2で2万2000円弱、回リハ3で1万9000円強となっている=グラフ4=。この差異は入院基本料+加算によるものと推測される。ただし、0単位の日とは、リハを実施しない特異な日である。これらの日は入院日や退院日なども多く、入院初日や退院日のみの算定項目等があるため、金額自体は参考程度とすべきかもしれない。
※2 延べ患者数による加重平均値
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次回配信は7月5日5:00の予定です
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