昨年春の診療報酬改定後、療養病棟に入院して酸素療法を受けている患者の半数超を、病院側が医療区分2(区分2)と判定していたことが、診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」の調査(速報)で分かった。そうした患者は従来、医療の必要度がより高い医療区分3(区分3)と見なされていたが、昨年春の改定で判定基準が変わり、高密度な治療を要する場合を除いて区分2と見なすルールになっていた。【佐藤貴彦】
分科会は、昨年春の改定が入院医療の現場に与えた影響の調査や、集まったデータの分析を担当している。分科会が取りまとめた検討結果は、中央社会保険医療協議会での来年春の改定に向けた議論に活用される。
調査は、分科会が昨年11-12月、療養病棟入院基本料を届け出る病院から無作為抽出した1801病院を対象に実施。512病院(28.4%)から回答を得た。この中で、「酸素療法を実施している状態」の患者の医療区分ごとの人数を病棟ごとに聞き、改定前の2015年と昨年とで、11月時点の入棟患者に占める割合がどう変化したのかを調べた=グラフ1=。
回収した343棟分のデータを集計した結果、改定前は18.2%で、すべて区分3だったが、改定後、その状態で区分3の患者は8.3%、区分2は9.6%だった。
また、「うつ症状に対する治療を実施している状態」か「頻回の血糖検査を実施している状態」で、区分2と判定された患者の割合も調べたところ、改定後は3.0%と4.2%で、それぞれ改定前と比べて1.8ポイントと2.1ポイント低かった。その分、医療の必要度が最も低い医療区分1(区分1)と見なされる患者が増えたものとみられる。
患者が必要とする医療の密度を表す医療区分は、特に医療が必要な疾患・状態なら区分3、次いで医療が必要な疾患・状態なら区分2と判定する。それぞれに定義があり、どちらにも当てはまらなければ区分1になる。区分3だと療養病棟入院基本料の点数が高く、区分1だと低い。
(残り1121字 / 全1946字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】