後発医薬品の使用を拒み、特許の切れた先発医薬品(長期収載品)を選んだ患者に、後発品との差額を負担させる制度に注目が集まっている。現在、社会保障審議会(社保審)の部会などで審議が進んでいるが、中央社会保険医療協議会(中医協)では、診療・支払両側の委員が口をそろえて反対している。【佐藤貴彦】
この制度は、長期収載品を使う患者とその後発品を使う患者とで、公的保険制度でカバーする医療の差をなくすためのもの。医療費の伸びを抑えたい財務省が導入を主張してきた。
後発品との差は、長期収載品の薬価を大幅に下げる方法でも解消できる。厚生労働省は先月17日、社保審の医療保険部会の会合で、差額を患者に負担させる案と、長期収載品の薬価を下げる案とを併せて示し、それぞれの是非について議論するよう促した=図=。しかし、どちらも患者や製薬企業に大きな影響を及ぼすことから、ほとんどの委員が慎重な検討を求めた。
中医協の薬価専門部会が同月31日に開いた会合でも、2つの案の是非が論点になった。この部会の役割は薬価の決め方などを審議することで、同省が検討課題に挙げたのは、長期収載品の薬価を下げる案のみだった。しかし、差額を患者に負担させる制度の案についても同省が説明したことから、この制度への反対意見が委員から相次いだ。
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