医師が訪問診療する患者のうち、どちらかといえば軽症で、定期的な訪問が月1回で済む人が1割強いることが31日、中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会の調査で分かった。また、月2回以上の訪問が必要で、特に重症なために医学管理料の点数が高い人の割合は1割に満たなかった。【佐藤貴彦】
少子・高齢化が進むにつれ、自力で通院できない患者が増えると予想されることから、国は在宅医療の体制整備を急ピッチで進めている。その手段の一つが診療報酬による誘導で、在宅医療を24時間体制で提供できる「在宅療養支援診療所」(在支診)などの設置を後押ししてきた。
在支診などの数は今も地域差が大きい。ただ、在宅医療を提供する医療機関は徐々に増えており、最近の診療報酬改定では、在宅医療の提供量を増やすだけでなく、質を高めるための報酬体系の見直しが進んでいる。そんな中で昨年春、患者の状態を報酬水準に反映させる仕組みが導入された。
この仕組みは、定期的な訪問診療を評価する「在宅時医学総合管理料」(在医総管)などの医学管理料の報酬水準を、患者の状態に応じて3パターンに分けるもの。患者が“重症者”のケースの報酬水準が最も高い。具体的には患者が末期の悪性腫瘍などで、医師が月2回以上のペースで訪問する場合が当てはまる。それ以外の患者は、訪問診療の頻度が月2回以上か、月1回かで報酬水準が分かれ、月1回だけの“軽症者”の場合は低い。
中医協の専門部会の調査は、こうした仕組みを導入した影響を検証するもの。昨年10-12月、在支診など2000施設を対象に実施し、764施設(38.2%)から有効回答を得た。この中で、訪問診療した患者2人(回答施設が同年10月の調査期間の最初と最後に訪問した患者)の状態などを尋ね、1142人分の回答を集めた。
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