財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)は25日、来年度の予算編成で、医療や介護など社会保障関係費(社保費)の伸びを、政府の財政健全化に向けた計画が掲げる「目安」からさらに踏み込んで抑制することなどを求める提言(建議)をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。同計画の伸びの「目安」は年5000億円程度で、診療報酬のマイナス改定などで2年度にわたり達成してきた。財政審は、社保費をさらに抑えるための具体策として、来年春の診療報酬と介護報酬の同時改定をにらみ、7対1入院基本料のように看護職員の配置状況を要件とする報酬体系そのものの見直しなどを提案している。【CBニュース編集部】
政府の計画は、財政の健全さを示す国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を、2020年度までに黒字化させる目標の達成に向けたもの。社保費の「高齢化による増加分に相当する伸び」が年5000億円程度だと定義し、来年度まで3年間の伸びのペースをその程度に抑えるという「目安」を掲げている。
名目は「目安」だが、政府は予算編成過程で伸びを切り詰めるなどして達成し続けている。例えば昨年度予算では、診療報酬改定の本体と薬価などを合わせたネットでのマイナス改定などで国費1495億円分を縮減。また今年度予算では、診療報酬の改定がないため介護納付金の総報酬割の導入(今年度の国費の歳出削減効果は443億円)や、医療保険の高額療養費制度の見直し(同224億円)といった制度改革で帳尻を合わせた。
■“ダブルのマイナス改定”、直接は求めないが…
25日にまとめた提言で財政審は、PBを黒字化させる必要性を改めて強調。社保費のこれまでの伸びが「目安」に沿っていたことは評価したものの、「効率化・適正化に不断に取り組んでいかなければならない」と指摘し、来年度予算で「目安」の達成よりも踏み込んで伸びを抑えるよう求めた。
6月に閣議決定される「骨太方針2017」などに反映されれば、来年度の同時改定が、医療・介護関係者にとって厳しいものになる可能性がある。
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