【浜脇整形外科病院 理事長 浜脇澄伊】
当院では、3年前から子どもを対象にしたプロジェクト「からだの音」に取り組んでいる。整形外科病院を運営する中で、けがで病院を受診する子どもたちが増えたり、けがの種類も以前と変わってきたりしたと感じることが多かった。このような状況に、整形外科単科病院として何ができるかを考え、スタートしたのが「からだの音キッズプログラム」だ。
スタッフには、筋肉や骨、神経など、運動器への知識が深い整形外科の医師、理学療法士をはじめ、看護師、管理栄養士、薬剤師などの専門家が参加している。
■からだの音活動を通じて、子どもたちを元気に
「転びやすい子が増えている」「何でもないことで簡単に骨折してしまう子が多い」…。最近、学校の先生や病院の医師から、こんな話をよく聞くようになった。遊び場が減ったり、歩くことが少なくなったりするなど、子どもたちの生活環境が急激に変わったことも要因となっているようだ。実は専門家たちは、30年以上も前から「子どもたちの体が危ない」と警鐘を鳴らし続けている。
当院では、体に関する情報をやさしく、楽しく紹介する冊子「からだの音 for Kids」を年1回発行し、広島市内の幼稚園、保育園、小学校に無料配布している。3回目の今年は、5万5000部を発行した。教育現場の声が聞きたいと、幼稚園や学校に直接お届けするうちに、私たちの活動への理解も広がり、講演や学校でのPTC活動※に呼ばれる機会も増えた。
※PTA(Parent-Teacher Association)とは異なり、Children(子ども)も参加する活動
体に関する情報を紹介する冊子「からだの音 for Kids」
体に関するイベントや講演会には、当院から講師を派遣している。PTC活動の一環などで体操教室を開いている小学校では、「子どもたちのけがが減りました」といったうれしい声もある。学校や幼稚園の先生方を対象に講演してほしいという依頼も年々増えている。また、広島県体育協会が主催する「かけっこキャラバン」というイベントでは、「足チェック」というブースを設けている。足は「体の土台」である。足の状態や姿勢をチェックすることで、歩きやすくなったり、転びにくかったりする方法をアドバイスしている。前回は160人の子どもたちがチェックに来てくれた。
「かけっこキャラバン」で開設した「足チェック」ブース (残り1193字 / 全2221字)
広島市立広瀬小学校PTC活動での「からだづくり教室」
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