【医療法人青心会郡山青藍病院常務理事 野中俊英】
■マーケティング分析の実例
第1回では、「マーケティングの必要性」「マーケティングの流れ」「ターゲット患者の選定」をはじめ、「ポジショニングが重要」といったテーマについて説明しました。第2回は、マーケティング分析の実例を解説します。
分析の流れとしてまず、外部環境(地域医療構想、病床機能選択、診療報酬改定等)の分析を行います。その上で、(1)患者動向分析(2)競合病院分析(3)自院分析―の3つの視点で分析します。今回は、この3つの視点について、DPC公開データを利用して説明します。分析ツールは、石川ベンジャミン光一氏(国立がん研究センター・社会と健康研究センター臨床経済研究室長)が提供するサイトが大変活用しやすく、今回利用しました。
https://public.tableau.com/profile/kbishikawa#!/
(1)患者動向分析のポイント
まず、押さえるべき分析として、2次医療圏別(将来患者数は市区町村別の分析も可)のa.将来患者数とb.需給率があります。a.将来患者数は、地域における傷病別患者数の推移を入院・外来別で確認する必要があります。患者がいなければ、外来やベッドは埋められません。
グラフ1は、東京都港区(区中央部医療圏)における脳梗塞入院患者数の将来予測です。2015年の1日推定入院患者数は、約120人ですが、40年には、倍の240人近くまで増えます。今後、高度急性期・急性期病院の在院日数は短縮が進むと思いますが、それに伴ってリハビリから在宅までの密な連携は不可欠です。地域の推定患者数を傷病別に把握し、地域において、自院がどのような役割を担うのかを検討しましょう。
グラフ1 東京都港区における脳梗塞入院患者数の将来予測 クリックで拡大
石川ベンジャミン光一氏ウェブサイトより(以下同様)
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