「4分の1の特別養護老人ホーム(特養)に空床がある」。今月6日、厚生労働省老健事業の一環として行われたシンポジウムの後、そんな衝撃的な報道が世間をにぎわせた。ところが、そのわずか4日後、厚労省老健局の担当者は、「特養の空床は(全ベッドの)3-4%程度」と説明。さらに同省は27日、要介護3以上だけでも約30万人もの入所申し込み者(待機者)がいると発表した。特養は本当に空き始めているのか-。【ただ正芳】
「特養、4分の1で空床」「特養の25%に空床」…。3月末の現段階でも、インターネット上で「特養」「空床」と検索すれば、そういった見出しを掲げたニュースが次々と見つかる。
そんな状況が現実であれば、入所するまでに待機しなければならない人など、生じるとは思えない。ところが厚労省は、特養の待機者について、要介護3以上に限っても29.5万人いると発表。それに先立ち、今月10日に開かれたある会議で、厚労省の担当者は、全国の4分の1のベッドが空いているのではなく、開設後比較的間もない施設の3-4%のベッドが空いているのであり、利用率は96-97%の高い水準にあると説明した。
冒頭のニュースの見出しと、10日の厚労省の担当者の説明は、どう考えても全く違うデータに基づき説明しているとしか思えない。しかし、実はいずれの説明も、同じ調査で示されたデータに基づいて行われたものだ。
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