【株式会社スマイル・ガーデン 村尾孝子】
前回は、挨拶について考えてみましたが、今回は、言葉遣いや話し方について考えます。
思いやりの心を表す方法の一つに言葉遣いがあります。言葉遣いと言えば、敬語を思い浮かべる方も多いでしょう。そして、「敬語は苦手」という方も少なくなく、特に社会人になって間もない若い薬剤師の皆さんは、敬語への苦手意識が強いようです。敬語は相手に対する感謝や敬意を表す言葉ですから、目の前の相手を敬う気持ちがあれば、自然と丁寧な言葉遣いになるはずです。にもかかわらず、しかるべき相手にも友達言葉やタメ口が出るようなら、「相手を敬う気持ちがない」とみなされてしまいます。
敬うとは、目上の人を尊敬し、その気持ちを行動や態度に表すこと。患者さんは必ずしも目上の人とは限りませんが、数ある薬局の中から自分の薬局を選んでくださったことに対し、礼を尽くすのも敬うことです。ですので、すべての患者さんに対し、適切な敬語を使える薬剤師になることが目標といえます。
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語などがありますが、相手や状況によって、使い分けることが大切です。そのためにも、これらの中でも特殊な言い回しをする尊敬語や謙譲語をしっかり身につけましょう。新人研修等で、「どうすれば敬語を覚えられますか」と相談を受けますが、とにかく声に出して繰り返し練習することに尽きます。敬語の本を読めば翌日からスラスラ話せるというものではなく、身体が覚えるまでには相応に時間がかかります。地道な努力あってこそ、敬語を自在に使いこなせるようになります。敬語の知識がいくらあっても、実際の会話の中で正しく使えなくては意味がありませんし、敬語を使えないのでは、医療や薬物に関する知識がどれほどあっても、薬剤師として信頼を得るのは難しいでしょう。疑義照会の場面で間違った敬語を使うようでは、医師との信頼関係どころではありません。敬語の基本を早く身につけ、患者さんや他職種との連携の場面で自信を持って話せるようになりたいものです。
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