【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■複雑性係数はケースミックスで決まる
2018年度の診療報酬改定に向け、診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」の議論も本格的にスタートした。医療機関群(DPC病院I群・II群・III群)や機能評価係数は、重要なポイントであり、特に多くの病院にとって経営を左右しかねない機能評価係数の方向性が注目される。
機能評価係数IIには、効率性係数や後発医薬品係数のように、病院個々の努力で伸ばしやすい係数がある一方、複雑性係数やカバー率係数、定量評価係数(地域医療係数の構成要素の一つ)などは努力が反映されにくい。現状、機能評価係数IIの8項目は、その報酬額(財源)においてすべて均等に割り振られている。効率的な医療や質の高い医療の実現に向け日々努力をしている病院に適切に報いるためには、努力が結果に結び付きやすい係数により重きを置くべきと考えている。
このような考え方は筆者だけでない。MMオフィスの工藤高氏は一貫して効率性係数のみにすべきと主張しているし、また、千葉大医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授の井上貴裕氏も、筆者との対談の中で効率性係数のみでいいとおっしゃっていた。さらには、東京医科歯科大大学院の伏見清秀教授(医療政策情報学分野)は、「今後は効率性係数と複雑性係数のみが実質的に病院の機能を評価する係数になると考えられる」(日経ヘルスケア 16 年10 月号)と述べている。
伏見教授は効率性係数と複雑性係数の2つを挙げているが、複雑性係数はケースミックスで定まるものであり、改善余地・努力余地が少ないものと考えている。
MMオフィス・工藤氏の記事「複雑性係数アップ目的の過剰診療は大間違い-2025年に向けた病院経営のツボ(4)」(13年5月5日付)で示していた1入院当たり包括点数の平均値について、MDC別に比較したグラフを15年度実績データに更新したものを示す=グラフ1=。
(残り2926字 / 全3740字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】