【医療法人秀友会理事長 藤原秀俊】
札幌市は約195万人の人口を抱え、10の区域に分かれています※。市の西端にあり、小樽市と隣接しているのが手稲区です。人口約14万人、高齢化率27.3%の手稲区には、67の一般診療所と14の病院があります。私は区内の札幌秀友会病院で理事長を務めています。
一般診療所の病床数は199床、病院の総病床数3597床(一般病床1462床、精神708床、療養1427床)で、どの病床区分も人口10万人当たりの病床数で全国平均を上回っています。
区内では、手稲渓仁会病院(656床)が高度急性期の機能や地域医療支援病院を担い、救命救急センターを運営するなど、中心的な役割を果たしています。また、子供の専門医療を担う北海道立子ども総合医療・療育センター(小児105床、療育110床)も重要な役割を果たしています。
札幌市の人口が増え、高齢者も増加する中で、精神科病院や療養病院が市の郊外に広がりましたが、手稲区でも精神科病院や療養病院が増えていきました。一般病院や診療所も競合を避けながら、特色ある専門医療を行っています。
このような背景から、手稲区の病院は、一般病床が主体の6病院、療養病床が中心の5病院、3つの精神科病院に分かれています。また、有床診療所では、産婦人科4件、内科2件、外科1件、整形外科1件、泌尿器科1件、脳神経外科1件があります。
手稲区では医師会が中心となり、医療機関同士で活発な意見交換や交流を進めてきました。毎月医師会役員会が開かれ、終了後には懇親会が行われます。最近は私自身が参加できていませんが、手稲渓仁会の田中繁道理事長が手稲区支部長だった時には、田中理事長(北海道病院協会副理事長)、ていね泌尿器科の鈴木伸和理事長(札幌市医師会副会長)と私(北海道医師会副会長)の3人が、懇親会で常に情報を交換していました。それが発展し、3人が病院の今後の計画や、医師会での話題や地域病院会の状況、日常診療に関する課題といった地域医療の現状や空床情報を毎朝メールで伝えるようになりました。このような中で、さらに手稲区全体の医療連携を緊密にし、地域医療構想に対応しようということが、3人の共通認識となり、手稲区全体の医療機関が参加する「病床連携会議」を企画しました。
2014年5月末、地域のすべての医療機関に対し、病床連携会議を開催するという案内を私の名前で出しました。
案内では、14年度診療報酬改定で、地域連携でもとりわけ病棟(病床)間の連携が必要となり、将来的には地域医療構想も視野に入れる必要があることから、病床連携会議を開催し、手稲区近郊で円滑な転院を進めたいことを伝えました。
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