【ネットワーク・情報セキュリティーコンサルタント 小椋正道】
地域包括ケアシステムを背景に、最近は一つの病院・法人・グループ内に限らず、ほかの病院や法人ともITシステムを通じて情報連携する必要性が生じています。大規模な形としては、あじさいネット(長崎県)や晴れやかネット(岡山県)に代表されるように、全県レベルで医療情報を共有する地域連携ネットワークも運用されています。地域医療介護総合確保基金などの公的資金を投入して整備する地域も多いとみられ、連携ネットワークは拡大しています。
水くみ用の木おけを想像して下さい。当たり前ですが、おけの側面の板は全て同じ高さです。もし1枚でも低い側板があったら、そこから水が流れ出てしまいますよね。情報セキュリティーも同じです。ネットワークに参加する全員のセキュリティー意識が高い位置で統一されていれば安心ですが、一人でも“問題児”がいると、そこから情報や感染したウイルスが漏れ出て…という危険が考えられます。
もう一つ、高い位置と低い位置にある2つのタンクがパイプで接続されているところを想像してみましょう。高い方のタンクにある水は、低い方のタンクに流れていきます。注意すべきは、「タンクを接続する」ということ自体が安全性を低下させるリスクをはらむということです。1つのタンク内で閉じていれば、内部をきちんと固めて流水を防ぐことは比較的容易ですが、穴を開けてパイプを取り付ければ、どうしても接合部分に弱点が生じたり、接続先のタンクの環境に大きく影響を受けたりということにもつながります。
次回配信は2月7日5:00を予定しています
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