昨年4月の法改正で、在宅医療・介護の連携推進が「地域支援事業」の一つとなった。同事業を担う市町村と医療関係者らがタッグを組めるかどうかが今後、各地域の在宅医療の質を左右するといえる。ただ、医療に関する施策を主に都道府県が担当してきたこともあり、軌道に乗った事例はまだ少ない。そんな中、東京都内でこのほど開かれたシンポジウムで3市の市長と市医師会長らが講演し、密な連携体制を築いた経緯や秘訣を語った。【佐藤貴彦】
徳島市の遠藤彰良市長と豊崎纒(まとめ)・市医師会長は、在宅医療・介護の提供体制の整備に向けて意見交換する「徳島あんしんタッグ」を定期的に開催しているという。また、同市の地域包括支援センターは市医師会が運営。在宅医療に関する相談を受け付ける「在宅医療支援センター」と併せて医師会館内に設置し、市民の相談に幅広く対応しているとした。
また、船橋市の松戸徹市長と玉元弘次・市医師会長は、市医師会など医療・介護関係団体と市で構成する「船橋在宅医療ひまわりネットワーク」について説明。入退院時の医療・介護の連携を円滑に進めるため、病院側と在宅側、患者・家族らにそれぞれ求められる行動をまとめ、「心得」にして活用していることなどを紹介した。
一方、西東京市の丸山浩一市長と石田秀世・市医師会長は、同市が設けた「医科部会」で、市医師会が施策を提案していると説明。例えば、同部会での提案を基に、在宅医療・介護の連携を支援する相談窓口の在り方の検討が始まり、今年10月に「在宅療養連携支援センター」を開設、医療・介護の専門職から相談を受け付け、両者の連携支援に取り組んでいるとした。
■「門前払い」されても、しつこく呼び掛け
シンポでは、現在の良好な関係ができ上がるまでの苦労も垣間見えた。
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