【広島市西区医師会 医療法人裕心会落久保外科循環器内科クリニック院長 落久保裕之】
広島市西区在宅あんしんネット(以下、在宅あんしんネット)は、西区内の全病院による協議の上、2014年7月1日よりシステム運用を開始した。今回は、在宅あんしんネットの利用者の状況を見てみたい。14年7月1日より、16年2月29日までの集計で、利用者は93人、そのうち49人が訪問診療を受けている。
当医師会では、肺炎、脱水などの疾患で、おおむね月に10人程度の紹介があると予想していた。14年7月の開始月は6人で、それ以降16年2月末まででは、月平均5人程度の紹介となっている。
利用者の内訳は女性が59%、年齢は80歳代が最も多く、70歳以上で全体の96%を占めていた。また要介護度では全体の82%が要支援1以上の認定を受けており(残りは非該当、不明、未申請)、特に重度要介護状態である要介護3以上が46%と半数近くであった=グラフ1=。
疾病の内訳は当初の予想通り、肺炎が最も多く29人(31%)であった。拠点病院が脳神経外科病院ということもあり、脳血管疾患が8人(9%)と次いで多く、以下、脱水、心不全、骨折などが続いた=グラフ2=。また、24人(26%)がその他の疾患で、=表=の通り、非常に多岐にわたる診断がされている。高齢者の体調不良は多くの疾病が関与していることが見えてくるのと共に、拠点病院の荒木脳神経外科病院が、高齢者救急におけるファーストトリアージ機能を十分に果たしているといえる。
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