【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
1.高度急性期病院としてのⅡ群
医療機関群は2年に1回、“入れ替え戦”が行われるが、2018年度診療報酬改定に向けてⅡ群の評価期間が始まった。例年通りなら、16年10月から17年9月末までの患者が評価対象となる。暫定調整係数が廃止される次回18年度改定では、「何としてもⅡ群入りを」と意気込む医療機関も多いことだろう。その一方で、12年度診療報酬改定からずっとⅡ群を維持してきた医療機関は、王者のゆとりを感じる面もあるが、油断大敵であることは肝に銘じる必要があるだろう。
連載では、Ⅱ群だけが生きる道ではないことやⅡ群のあり方について、今一度議論を行うことを提言してきたが、病院全体で高度急性期機能を有していると言えそうなのは、現行の診療報酬を前提とすれば、DPCⅡ群か総合入院体制加算1・2(上位加算)を算定する医療機関ではないか。これらの評価方法は、高度急性期のあるべき姿と異なる点もあり、制度としての課題が多いものの、急性期病院の経営に関わる現場感覚からすると、高度急性期として生き残るためには、いずれかは充足したいものだ。
なお、病床機能報告制度では、病棟ごとの機能として高度急性期を設定しているが、これは地域医療構想を実現するためのものであり、DPCⅡ群とイコールではない。しかしながら、中長期的には両者を収束させていくというストーリーもあり得るだろう。
本稿ではⅡ群の実績要件の特徴についておさらいした上で、その対策を取り上げる。
次回配信は10月31日12:00を予定しています。
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