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オプジーボは2年前、「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として保険収載されたが、昨年末に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に適応が拡大したことに伴い、対象患者数が当初の見込みの470人から数万人に増加。売上高も、製造販売元の小野薬品工業が今年度、1260億円を見込んでおり、昨年度当初の35億円から大幅に伸びている。
通常、年間の売上高が予測を大きく上回った場合、2年ごとの薬価改定で価格が調整されるが、オプジーボは昨年末に適応が広がったため、春の改定の作業に間に合わなかった。先月下旬には、新たな効能・効果として「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」も加わり、今後さらに対象患者が増えることが予想されている。
この日の部会で、日本製薬団体連合会(日薬連)の多田正世会長(大日本住友製薬社長)は、「企業は2年に1回の薬価改定を前提に経営を行っており、期中改定ありきの議論にくみすることはできない」とした上で、高額な医薬品についても「これまでにないルールを突然導入し、適用することは到底容認できない」と主張した。
また、米国研究製薬工業協会・在日執行委員会の梅田一郎副委員長(ファイザー社長)は、「イノベーションを阻害するだけでなく、医療の現場や流通段階で不要な混乱が生じることも懸念される」などとして、「革新的な医薬品の薬価を期中に引き下げる制度を導入すべきではない」とした。
さらに、欧州製薬団体連合会のカーステン・ブルン会長(バイエル薬品社長)は、2年ごとに行われている現行の薬価改定が「適切に機能している」と指摘。その上で、期中改定によって予見性が損なわれることに懸念を示した。
■GL策定、「業界として異論ない」―日薬連・多田会長
オプジーボなどの適正な使用を進めるため、中医協では現在、患者の選択基準や医療機関の要件などを盛り込むガイドライン(GL)の検討も併せて進めているが、これに対してはおおむね賛同する声が上がった。
多田氏は、「有効性や安全性、医療現場の状況などを踏まえたガイドラインが策定されることに、製薬業界として異論はない」とし、期中改定については、GLの効果を確認した上で判断することが望ましいとの考えを示した。また、梅田氏はGLの医療保険上の取り扱いなどについて、患者のアクセスや医療現場の負担などに配慮するよう求めた。
厚労省は次回会合で、関係学会などと進めているGLの素案の策定作業の進ちょく状況を報告するとともに、GLの医療保険上の取り扱いに関する案を示す方針だ。
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