法人税に関する優遇措置が受けられる社会医療法人の認定について、厚生労働省は、関連通知を改正し、認定が取り消された場合でも、救急医療等確保事業の業務を継続すれば、引き続き優遇措置を受けられるようにした。今年度の法人税法改正を受けた措置。社会医療法人の認定が取り消された場合、認定開始時からの所得(累積所得)に法人税が一括で課税され、多額の支払いで財務状況が悪化する恐れがあったが、法人税法改正と今回の通知改正で、一括課税支払いの先送りが可能となった。【新井哉】
社会医療法人制度は、救急医療やへき地医療など、地域住民にとって不可欠な医療を提供する法人を対象にしたもの。事業の実績などの要件と、公的な法人運営に関する要件をクリアして認定されると、税制上の手厚い優遇措置が受けられる。現在、全国で268法人(7月1日現在)が認定されている。
医療法人には医療保健の“本来業務”に法人税が課されるが、社会医療法人は非課税扱い。だが、認定を取り消された際は、認定時点までさかのぼって所得に課税される。認定期間が長期にわたった場合、「医療機関の存続が危ぶまれるほどの巨額の一括課税が生じる」との懸念も出ていた。
一括課税については、財務省主税局は「非課税の公益法人の一般的なルール」との見解を示していたため、「現実的な対応」を求める厚労省と同局の間で調整を進めてきたという。
■改善見込めない場合は認定取り消しも
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