横浜市でこのほど開催された第27回日本在宅医療学会学術集会では、「円滑な病診連携を目指して『家族・社会の変化に対応する在宅緩和ケアのあり方』」と題したシンポジウムが行われた。病院医師、診療所医師、MSW、薬局薬剤師それぞれの立場から、社会の変化に対応する在宅緩和ケアのあり方が提案された。この中で、病院から在宅への支援につなげていく方法が一つのテーマになった。【大戸豊】
東京慈恵会医科大附属病院「患者支援・医療連携センター」の常喜達裕センター長は、データを通じて院内に現状を示しながら、地域連携の方向性を打ち出していくことが重要と述べた。
東京都港区にある同院では、半径5キロ圏内から来院・入院する患者は15%にとどまり、広域の地域連携がメーンになっている。また、70歳以上の患者は全体の3割と、高齢化の割合は他院に比べて低く、多様な年齢層が受診しているのも特徴だ。
同院の在院日数は約12日で、病院稼働率は85%となっている。高い回転率を示しているものの、DPCの複雑性係数はやや低い。常喜センター長は、今後の患者構成の変化などを考慮すると、新規患者の受け入れも、「量」だけを追求するのではなく、より高度な診療内容を提供する「質」の面にフォーカスすることが重要になると述べた。
同院では、年間延べ2.5万人が退院するが、退院支援を行っているのは、そのうちの1割以下。また、患者や家族からの依頼を受けて、退院支援を開始することも多いことから、常喜センター長は、外来でのアセスメント力を引き上げながら、退院支援を必要とする人を早期に発見し、支援につなげていく取り組みが重要になると述べた。
(残り2325字 / 全3038字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】