安倍晋三首相は1日に記者会見を開き、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2019年10月まで延期する方針を表明した。財政健全化目標は堅持することから、歳出改革が厳しさを増し、18年度の診療報酬・介護報酬同時改定などへの影響が避けられない情勢だ。【佐藤貴彦、ただ正芳】
1日の記者会見で安倍首相は、消費税率引き上げの延期を決断した理由をこう説明し、理解を求めた。一方で、20年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化させる財政健全化目標は堅持する方針を強調した。
■迫られる社保充実策の選別
消費税率引き上げが予定通りに行われた場合、税率引き上げによる増収額は今年度の8.2兆円から大幅に増え、来年度は12兆円程度、18年度は14兆円程度になると推計されていた。それに伴い社会保障制度の充実に活用される財源も増える見通しだったが、税率引き上げの延期で、政府は来年度以降に実現させる施策の選別を迫られる =グラフ、クリックで拡大= 。
安倍首相も会見で、優先順位を付けながら社会保障の充実に取り組む方針を表明。保育の受け皿確保や、介護職員の処遇改善、介護施設の整備などに前向きな考えを示している。
一方で、税率10%への引き上げによる税収増を見込んでいた施策は、先送りされる可能性が高いと言えそうだ。具体的には、低所得者を対象とした介護保険の1号保険料の負担軽減策(約1400億円)などが挙げられる。
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