【医療法人社団悠翔会理事長 佐々木淳】
日本では、約7割の方が人生の最期を住み慣れた自宅で過ごすことを望んでいるが、実際は8割近くの方が病院で最期を迎えている。病院死の割合は国際的にみても突出している。
一方、2030年あたりから以後30年にわたり、年間死亡者数は160万人前後で推移するとみられる。現在より死亡者数が30万人以上増えた状態がずっと続くことになる。
在宅療養および看取りをサポートするのが在宅医療である。国は2006年に在宅療養支援診療所(在支診)の制度をスタートし、以降、診療報酬の評価などを通じて在宅医療を強力に推進してきたが、質量ともに普及は十分とはいえない。その最大の障壁が365日×24時間対応の義務である。在宅療養支援診療所も、看取りに対応できているのは約5割で、その大部分が年1-3人程度の看取りにとどまっている。
■主治医は日勤、副主治医は休日夜間に対応
悠翔会は首都圏の1都3県に9つのクリニックがあり、約3000人の在宅患者を支援し、年500人を在宅で看取る首都圏最大級の在宅医療機関である。短期間でネットワークを拡大できた鍵は、常勤医を休日夜間対応から解放したことにある。
当会も設立当初は創立者が個人の責任で24時間対応を担い続けた。しかし医師の心身の疲労が、診療サービスの品質と在宅医療の持続可能性を低下させることが明らかとなった。そこで創立5年目の11年に休日夜間の緊急対応機能を独立させた。
次回配信は6月16日5:00を予定しています
(残り2082字 / 全2840字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】