外来応需体制を持たずに在宅医療を専門に行う診療所について、2016年度診療報酬改定で、保険医療機関としての開設が正式に認められた。外来患者が訪れた際に対応できるよう、地域医師会から協力の同意を得ておくことなどが要件だが、「全国在宅療養支援診療所連絡会」の石垣泰則副会長は、地域医師会と若い在宅医とが互いに歩み寄り、結び付きを強めるきっかけになると期待している。【聞き手・構成=佐藤貴彦】
保険診療のルールで、地域医師会の協力を得ておくことが要件になったのは初めてではないか。これは、厚生労働省の英断だと感じている。
患者数が多い大都市では、かかりつけ医だけで在宅医療を提供するのが難しく、在宅医療専門の診療所が一緒にやっていく必要がある。例えば、私が運営する「コーラルクリニック」(東京都文京区)は、神経内科に特化して、管理が難しい患者に対応している。また、佐々木淳先生が理事長の「悠翔会」(本部=同港区)は、法人外の医療機関の患者の夜間・休日対応も行っている。
このように、補完を担当する在宅専門診療所とかかりつけ医とを、縦糸と横糸のように丁寧に織り込み、在宅医療のネットワークを組んでいくことが、これから欠かせない要素になる。それをつくり上げていく上で、地域医師会は重要な役割を持つ。
地域医師会の中には、在宅医を非常によく受け入れている所もある。一方、それが不十分な所は「医師会要件」をきっかけに、若い在宅医にもう少し門戸を広げていただきたい。そして、若い在宅医の先生がその中に飛び込み、医師会が進める地域づくりに貢献すれば素晴らしいのではないか。
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