2016年度診療報酬改定で新設された精神病棟の評価「地域移行機能強化病棟入院料」には、許可病床数を毎年減らさなければ届け出を維持できないという、前代未聞とも言える仕組みが導入された。日本精神科病院協会(日精協)の長瀬輝諠副会長は、良い意味でも悪い意味でも画期的で、精神疾患患者の地域移行を部局横断的に推進するという厚生労働省の強いメッセージが込められていると指摘する。【聞き手・構成=佐藤貴彦】
地域移行機能強化病棟入院料は、簡単に言えば、積極的に患者の地域移行を進める病棟の評価だ。「精神科療養病棟入院料」より点数が高い代わりに、患者を一定程度退院させた実績を持つことや、許可病床を減らすことなどが要件になっている。
地域移行については、08年度改定で創設された「精神科地域移行実施加算」(入院期間が5年を超える患者を5%以上退院させた実績などが要件)でも推進されてきたが、退院可能な患者はもうすでに退院しているので、最近は算定している医療機関が減っている。そこで、この入院料が新設されたのではないか。
病棟群は「もう少しフレキシブルに」-識者が読み解く16年度改定(1)
「ビジネスモデル」化した回リハ病院に警告-識者が読み解く16年度改定(2)
療養病棟は養生の場から治療の場に-識者が読み解く16年度改定(3)
試される7対1病院の「営業力」-識者が読み解く16年度改定(4)
II群での技術評価、内保連の念願かなう-識者が読み解く16年度改定(5)
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