【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
1 選定療養費の義務化で外来患者は減るのか?
2016年度診療報酬改定で、選定療養費の定額徴収の義務化が始まった。対象は特定機能病院および一般病床500床以上の地域医療支援病院だが、大病院でも治療密度が薄く、診療単価が低い患者が一定の割合を占めている。一般外来を縮小し、専門外来に特化せよという国のメッセージだろう。
今後対象を拡大する場合には、地域性に十分配慮する必要がある。ただし、緊急その他やむを得ない事情がある場合など、定額負担を求めなくてよいケースも明示されており、病院の運用次第で何とでもなるのが現実である。
ただ、大病院の外来患者が減らない本当の理由は初診ではない。すべての初診患者が紹介状を持参すれば、大病院としても、そこに逆紹介すればよいわけで、今まで以上に逆紹介がしやすくなる。この点については、各医療機関でもそれなりの患者教育を行い、自院の機能についても周知しているはずなので、紹介状を持参しないで大病院を受診する初診患者は多くはないだろう。
次回配信は4月25日5:00を予定しています。
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