【日本医業経営コンサルタント協会福井県支部 支部長 杉原博司】
2016年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟入院料は据え置きのまま、手術・麻酔の出来高払いが導入されました。既に地域包括ケア病棟を導入した病院、今後の導入を検討中の病院にとって歓迎すべきことでしょう。しかし、この変更は「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の見直しと併せて、「DPC病棟で扱うべき疾患と手術、地域包括ケア病棟で扱う疾患と手術を明確に切り分けよ」という大きな課題を突き付けられたように感じているのは私だけではないと思います。
最終回の今回は、
▽DPC病棟と地域包括ケア病棟、手術や患者をどうすみ分けるか
▽地域包括ケア病棟は急性期なのか、回復期なのか
▽包括入院料の点数は長期的にどうなるのか
―の3つの視点から、地域包括ケア病棟の今後を考えてみたいと思います。
■手術・麻酔の出来高払い導入で、病棟運用に混乱も?
今回の中央社会保険医療協議会(中医協)での議論や各種団体の意見などでは、「DPC病床と療養病床は手術が出来高なのに、地域包括ケア病棟では包括払いであることが、シームレスな機能分化を行う上で支障になっている」と指摘されていました。
これに沿って考えると、地域包括ケア病棟で想定される手術は「回復期の手術」。つまり、胃瘻造設や輸血、抜釘、高齢者のペースメーカー移植術、内視鏡止血術、がん終末期の対症療法的な手術、持ち込み褥瘡に対する手術などが頭に浮かぶでしょう。
一方、新設の看護必要度C項目を見ていると、「DPC病床で行われるべき手術とはC項目の対象手術である」というメッセージにも受け取れてしまいます。例えば、短期滞在手術3の対象手術(白内障や大腸ポリープなど)は日帰り手術に移行するか、他病棟もしくは他医療機関で実施されるべきだというものです。
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