【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
1 今回改定におけるⅡ群の実績要件
先日、医療機関別係数が告示され、DPCⅡ群病院が99から140へ増加することになった。新たにⅡ群となった病院は300床-400床規模が比較的多いが、依然として500床以上が全体の7割を占め、大病院優位という状況は大きく変わらなかった=グラフ1=。
2016年度診療報酬改定では、内保連の特定内科疾患が高度な医療技術の実施に関する評価項目に加わり、従来の外保連と合わせた6項目のうち、5項目を満たすことが求められた。特定内科疾患については、本連載でも言及した通り、基準値そのものが予想通り低く、救急に注力する病院、あるいは救急に取り組まなくても血液内科に強みを有する病院にとって容易にクリアできるものであり、全体の顔ぶれに影響を与えることはなかった。また、従来の手術実施件数は全国平均であったが、今回は大学病院本院の最低値に設定がされたため、基準値が大幅に引き上げられた。
大学病院本院は、小さくても600床程度の病床を有するわけであり、中小規模病院には厳しい評価となった。その他、前回改定ではハードルが比較的高かった研修医数については基準値が若干下落し、重症患者に対する診療の実施(複雑性指数)についても、極めて低いハードルの設定となった=表=。本連載で複雑性指数の影響で循環器に強みを有する病院がⅡ群からⅢ群へ降格する可能性があると指摘したが、その予想は大きく外れたことになる。結果として、一定の病床規模で急性期機能に関するアクティビティーが高い病院がⅡ群に選ばれ、診療密度を満たした大規模病院にとってはⅡ群のハードルは低かった。
次回配信は4月11日5:00を予定しています
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