【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度診療報酬改定では、地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点が示され、この中で地域包括ケア病棟がより一層魅力度を高めることになった。
先日DPC病院には医療機関別係数の内示があったが、その中で、効率性係数が前年度比で大幅に上昇したのは、地域包括ケア病棟を設置した医療機関であった。DPC/PDPSにおける入院期間Ⅱを目安に、患者を地域包括ケア病棟に転棟させることによって、当該係数における評価は向上するわけだ。
もちろん、地域包括ケア病棟をつくったが、利用率が思うように上がらないという医療機関も多い。しかし、有効活用したケースでは高い評価を受けている。これはある意味、DPC/PDPSにおけるドーピングのようなものだと思う。Ⅱ群の実績要件における診療密度や効率性係数などが、自らの力以外で劇的な改善が図れるので、一度始めたらやめられない病棟なのかもしれない。ただし、そのような利用法も制度として許されているわけであり、決して違反ではない。この病棟は前向きに検討する価値がある。本来の趣旨に合わない利用はいつの日か必ず取り締まられ、点数に濃淡がつくかもしれないが、しばらくは放置されることだろう。
本稿では、地域包括ケア病棟について今回改定における主な変更点と今後の方向性について言及する。
次回配信は3月28日5:00を予定しています
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