【メディカルトピア草加病院事務長 久保田巧】
医師の周辺にある課題を少し改善しただけでも、収入が大きく伸びることがあります。ただ、現場では、医師自身が「これは解決できないだろう」「上層部に言っても無駄」などと思い、課題がそのままになっていることも多いのです。
医師事務作業補助者は、医師の常に隣にいて、医師のモチベーションの状態を知っていますし、診察時の運用なども他の医師と比較することができますので、「A先生は、○○の部分に対してB先生のような工夫をすればもっと効率化される」などの視点も持っています。また、診察に同席しますので、患者にどのようなニーズがあるのかも把握できます。
今回は、MPが介入して改善を図った具体事例を紹介し、どのように医師事務作業補助者を集め、どう効率よく育成するかについても考えたいと思います。
■薬剤に関するミクロの情報からの改善事例
大学病院の医局から派遣された外来非常勤医師の事例を紹介しましょう。約1年前に大学病院で手術終了後の安定した患者を逆紹介として受け入れる目的で、専門外来がスタートしました。大学病院では、その患者にある薬を75mgで定期処方しているのですが、当院ではその薬は25mgのみの扱いでした。医師から相談を受けた薬剤師(当院は院内薬局)は、当院は、25mgのみの採用なので「×3錠」でお願いしますとのことでした。医師は、薬剤師に「新規採用は出来ないのか?」と問い合わせしたところ「当院は1増1減です。追加の新規採用は基本的に難しい」という回答でした。医師は、「飲む錠数が増えるので、この疾患の患者は、紹介できないな」とつぶやいているところをMPが発見しました。早速、MPが私に相談し、その錠剤の75mgを新規に採用し、現在では、その対象疾患の患者も、当院に多く逆紹介をしてもらえるようになりました。
薬剤師は、無駄な在庫を増やさないように薬の新規採用に慎重になってくれています。これは間違っていません。ただ、この事例のように、状況次第で、薬を採用した方が病院の収益につながることもあります。早速、薬局長と相談し、薬事委員会で新規採用申請をしました。このようなミクロレベルの事例でも、なるべく病院の幹部に情報が届くようになると、病院として経営判断できることになります。
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