厚生労働省は4月の診療報酬改定で、禁煙治療を受ける若年層を増やすため、保険診療のルールを見直す方針だ。現在は、喫煙年数と一日の喫煙本数とを掛け合わせた数値が200以上でないと全額自費になるが、一定の年齢に満たない人は、この基準を満たさなくても保険対象にする。診療報酬改定について議論している中央社会保険医療協議会(中医協)では、基準を免除する対象を29歳までに限定するか、49歳までにするかで委員の意見が分かれている。【佐藤貴彦】
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現在の基準では、例えば一日10本たばこを吸う人の禁煙治療は、喫煙年数が20年間以上でないと医療保険の対象にならない。ただ、医療現場などからは、若年層の禁煙治療を推進すべきとの指摘がある。同省の研究事業では、20歳代の喫煙者が、喫煙年数などに関係なく禁煙治療を保険診療として受けられるルールに見直すと、治療を受ける人が約3万人増え、喫煙に関連する疾病の予防による医療費削減効果が約125億円高くなると試算している。
中医協は昨年から、禁煙治療に関する保険診療のルールについて議論している。医師を代表する委員らが見直しを主張する一方で、中医協の調査で全5回の治療を一度でも受けた人が、最後の治療から9カ月後に禁煙を続けていた割合が3割に満たなかったことなどから、保険者を代表する委員らは慎重な姿勢を示してきた。
ただ、治療を5回すべて受けた患者に限ると禁煙継続率が5割近かったことから、5回目まで治療を受ける人を増やす施策を条件に、ルールの見直しに応じた。このため、4月の診療報酬改定では、喫煙年数などによる基準の緩和に加え、禁煙治療を行った医療機関が受け取る「ニコチン依存症管理料」の報酬額にペナルティーが設けられ、治療が中止になることが多い医療機関では減算になる見通しだ。
そのほか、保険者を代表する委員らは、若年層の受診を促すため、そうした患者が支払う診療報酬を安く設定するよう求めている。
喫煙年数などに関係なく禁煙治療の対象にする年齢など、見直し後の具体的なルールは2月中旬までに決まる。
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