【大和市立病院薬剤科 計良貴之】
前回は、急性期から療養型・回復期病院や介護施設などに転院調整をする場合、薬剤費が受け入れの障害になることをお伝えした。今回は、当院の事例を元に、具体的な対応方法について考えたい。
前回、B型肝硬変に伴う肝性脳症のため、当院に入院した60代の男性の事例を紹介した。入院時の既往は心房細動、慢性心不全で、薬物療法によってコントロールされていた。入院後は、点滴治療と排便コントロールを行い、血中のアンモニア値は低下し、肝性脳症の症状は速やかに改善していた。しかし、過去6カ月で入退院を数回繰り返していたほか、同居家族が日中は仕事で家を空ける、いわゆる日中独居の状態のため、在宅療養の継続は困難と考えられた。そのため、本人、家族と主治医が協議し、療養病棟への転院を希望したため、地域連携室に転院調整の依頼が入っていた。
この時に行っていた薬物療法では、アミノレバンEN配合散やイグザレルト錠15mgなどの指示があり、1日の薬価は1342.48円であった=表1=。
転院調整の依頼を受けた担当者は、1日の薬剤費が1000円超の治療薬の継続では、転院調整が困難になると考え、薬剤師に薬物療法の内容変更を相談した。1日の薬剤費を700円程度まで下げてほしいということだった。
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